2020年6月22日月曜日

誤動作事故

過去の誤動作事故に、使わずにしまっておいたストーブが発火したという事故がありました。違法無線による誤動作だったようです。ストーブのメーカーは違法で強力な電波での誤動作まで考慮していなかったのでしょう。

携帯電話も無線を使っていますが、無線に限らず、雷、静電気など、大小さまざまなノイズが存在します。最近の機器はなるべく誤動作を起こさないように設計されているものが多いのがほとんどですので、あまり心配する必要はありませんが、万が一誤動作で動いては困るものは念のため電池を抜く、プラグを抜いておくなど方が良いでしょう。

誤動作について、一般の消費者が実験や判断することは難しいので、特に安全性が必要な商品、不在時に動作させる商品についてはniteの情報などを時々見たり、購入するメーカーのウエブサイトでそのメーカーの安全性に対する姿勢などを確認することをおすすめします。

電池の取り扱い

乾電池と言うと、電圧も低く、子どものおもちゃにも使っているので安全なものだという認識がありますが、アルカリ電池では単三型でも1Aの電流を数十分から1時間近く流すことができるほどのエネルギーが蓄えられています。
乾電池でも、ショートさせると破裂や発煙発火の危険性があります。電池をごちゃまぜに保管してショート、ゼムクリップやダブルクリップなど引き出しに電池を一緒に保管してショートなどもあるようです。保管するならば、金属ケースなどは避けて、ごちゃまぜにせず保管する。捨てる時は絶縁テープ(ビニールテープなど)で電極を保護して捨てるなど気を付けてください。特にボタン電池類はショートしやすい形状もあるので要注意です。

ボタン電池は誤飲事故も多い様です。子どもの手の届かないところに保管する。ボタン電電池の外れやすい商品も子どもの手の届かないところに保管するなど注意しましょう。

充電タイプの電池ですが、正しい充電器を使ってください。特にカメラなどに使われているリチウムイオン電池は可燃性で扱いが難しいので、機器専用の充電器で充電するようにしましょう。電気工作など趣味で充電池を使う時は、リチウムイオン電池の専門知識が無い場合はニッケル水素電池や鉛蓄電池を使った方が良いと思います。自作で充電池を使う場合は安全のためにFUSEなどの保護回路を入れておくべきでしょう。

リチウムイオン電池は衝撃で破裂発火することもありますので、落下しやすい場所などの保管は注意したほうが良いです。

電池はプラスとマイナスを間違えて逆付けした事故も多い様です。向きを間違えて乾電池の液漏れなどもあるそうです。保護回路の無いものは逆に電圧がかかっただけで故障するものもあります。トランジスターから煙が出て壊れたなんてことも起こります。

乾電池での事故として、メカ的な事故も起こっているようです。硬くて乾電池の取り付け取り外し時に力を入れてケースが破損して怪我をしたり、工具で怪我したり、電池を押さえているバネで電池が飛び出し目に当たった事故などもあるそうです。

リチウムイオン電池の普及でスマートフォンやドローンの実用化など便利なものが増えましたが、その取扱いを間違えた事故も増えている様ですので、十分注意しましょう。

まとめると
・ショートによる発熱、発煙発火、破裂
・誤飲
・不適切な充電による、発熱、発煙発火、破裂
・逆付けなど誤接続
・衝撃による発煙発火、破裂
・無理な取り付け取り外し作業での怪我
が主な事故です。

2020年6月19日金曜日

ショートによる事故防止

家庭やオフィスで電源をショートさせることはめったにないと思いますが、ショートは大きな電流が流れるため発火し火災を起こすことがあります。どのような時にショートさせることが多いでしょうか?
家庭などで多いのはドアや家具などに家電などの平行ビニールコードを挟んでいて、知らないうちに被覆がはがれてショートする場合です。スチールのロッカーに電源コードがこすれて傷つき、ロッカーを通してショートするということもあります。

コードが傷ついてグランド側に電流が流れれば漏電ブレーカーが働く場合があります。また、ショートして電流が大きければ過電流でブレーカーが働く場合もあります。しかし、ブレーカーが必ず働くとは限りません。中途半端な電流ではブレーカーが働かずに発火、火災に至る事も考えられます。
電気製品の電源コードは傷つかないようにする。時々点検して傷がついていないことを確認するなど、気を付けましょう。傷がついている電源コードはショートしなくても事故の原因になりますので使用を中止してください。

ショートですが、交流100V電源ではなく、乾電池でもショートさせれば危険です。電池を捨てる時に端子部分を絶縁テープでふさぐなどして捨てるのはショートして発熱発火することを防ぐためです。乾電池だから大丈夫だろうとバカにせず、どんなに小さな電池でも、ショートさせないように注意してください。

リチウムイオン電池や、自動車の鉛バッテリーなどは非常に大きな電流が流れますので、ショートさせることは大変危険です。自動車の場合は自分で部品をとりつけたりする人もいますが、実際に自動車に自分でフォグライトを取り付けてハーネスが傷ついて自動車を燃やしてしまった人などもいます。車体とバッテリーのマイナス側はつながっていますので、プラスの電圧がかかっている配線が部品のエッジなどで傷ついただけでも車体を通してショートし危険です。

自動車のバッテリー交換でショートさせてしまう事故があります。マイナス側がつながったままでプラス側の端子をスパナで緩めようとして、スパナの反対側が車体に触れてショートさせてしまうことが考えられます。スパナが溶けるほどの電流が流れます。
プラス側のコネクタ、端子、配線を触るときは、必ずバッテリーのマイナス側端子を外してから作業をしましょう。また、万が一何らかの理由で配線がショートしたときに発火しないようにフューズを電源に近い方に必ず取り付けておきましょう。

2020年6月15日月曜日

電気器具の発熱発火事故防止

<白熱電球による発火>
最近、LED照明の普及で発熱の大きな白熱電球などはほとんど使用されなくなっていますが、めったに使わないため逆に物が燃えるほど熱くなるなど知らなかったという若い人もいるようですので、注意が必要です。
白熱電球で60WタイプのLED電球は5~7Wくらいの消費電力の物が販売されています。ということは60W白熱電球は光のエネルギーとしては5W程度、残りの55Wは熱エネルギーとして放出されていたことになります。白熱電球に紙などの燃えやすいものを接触させたり近づけると焦げて燃え上がります。LEDでも多少は熱になりますが、家庭用の電球タイプではせいぜい1~3W程度が熱になるので白熱電球ほど危険ではありません。(触ると火傷する可能性はあります)
省エネのためにも白熱電球は極力使わない事が発熱発火防止になると思います。もちろんLEDだからと言っても熱も出ますし、出力の大きなものは放熱が悪ければ事故になる可能性もあるので注意してください。

<接続部の緩みによる発熱>
ドライヤーなどの家電製品のプラグが熱くなっているなどの経験がありませんか?特にコンセントが緩くなっていてプラグが抜けやすい場合などです。プラグとコンセント(アウトレット側)の金具との接触が点接触になっていると、その部分が抵抗になって発熱します。
例えば抵抗値が0.1Ω(オーム)程度でも、10A流れれれば、1Vの電位差、
10A×1V=10Wの発熱量になります。半田ごてなど10W程度の物でもかなり熱くなるので、10Wがバカにできない発熱量であると認識してください。
電源プラグを自分で修理などしてネジが緩むと同様に発熱します。長時間発熱すると周囲のプラスチックが炭化して燃えやすくなり火災になることもありますので、コンセントやプラグの緩み、端子のネジの緩みなど十分注意してください。AC100Vだけではなく、自動車など12Vでも電流が大きいと発火する危険がありますので、自作などされる方は十分ご注意ください。

<トラッキング現象>
電気火災で有名な現象です。電源プラグや機械の内部などに埃がたまり、埃が吸湿するなどで電流が流れ発熱、周囲が炭化して発火に至る現象です。
冷蔵庫や洗濯機、テレビなど電源プラグを差したままの器具は時々点検してください。特に梅雨の季節などに発火事故が多い様です。
木工用の電動工具なども要注意です。おが屑が付着したままで気が付かづに電流が流れ、そのままおが屑が発熱発火することも考えられます。

以上、電気による火災を防ぐには、緩くなったコンセントなど古い器具を交換する。埃がたまらないように点検をする。自作などではたとえ電圧が低くても端子が緩まないようにするなど必要です。

また、出来ればコンセント、テーブルタップなどは万が一発火しても延焼しない様な場所に設置するなど工夫した方が良いと思います。特に普段目の届かない倉庫や車庫などは延焼しない工夫が重要と思います。

2020年6月8日月曜日

身近な事故防止 感電防止

感電事故は家庭でも起こる命にも関わる事故ですので、十分注意したいものです。

子どものころテレビの裏側で遊んでいて金属部に触れて感電したことがあります。詳しくはわかりませんが、1960年代の電気製品は今ほど安全ではないものがあったのかもしれません。そのころ子どもながらに、電線に止まっている鳥は電流が流れないから感電しないのに、自分は一か所しか触っていないのになぜ感電するのか不思議でした。

電源コンセント(アウトレット)の両側を触れば100Vかかっているので電流が流れることはわかります。ところが、片側を触っただけでも感電します。(危険ですので試さないでください)一般家庭の電源は片側が接地(アース)されているので、アース側を触っても電流は流れませんが、アースされていない側を触ると床などを通して電流が人体を通して流れるからです。ただ、床などはある程度抵抗を持っているので人体を流れる電流が抑えられることがありますし、漏電ブレーカーが設置されていれば漏電ブレーカーが作動して電流が止まる事で感電事故が防止できることがあります。

人はどの程度の電流が流れると危険なのでしょうか?
5mA 痛い
10mA 我慢できない
20mA 動けなくなる
50mA 命に係わる危険な状態
100mA 致命的

人間の皮膚の抵抗、人体の抵抗、履物や床材の抵抗などで、おおよそ5kΩ程度だとして、100Vですから、
I=E/R=100÷5000=0.02
20mAですから触ったまま動けなくなる可能性があります。
濡れた手や濡れた床などでは抵抗が小さくなるので、致命的になる可能性があります。
風呂場にやたらと電気製品を持ち込むのは危険だということがわかります。

電池など電圧が低い場合は安全でしょうか?
5Vや10Vくらいまでならそれほど大きな電流が流れないので、感電することはほとんどないと思いますが、車でも大型車が使っている24Vになると感電する危険性が出てきます。過去に35Vで感電死した事故があるそうです。

家庭で感電事故を起こさないためには
・子どものいる家庭では、コンセントに触らないように保護具などで対策する、マイナスドライバーなど、コンセントに刺さるようなものを手が届くところに置かない。
・ペットのいる家庭では電線を噛まないようにしておく
・プラグや電源コード等が欠けたり傷がついて壊れた製品は使わない。(廃棄するまで、電源コードを根元から切って使えないようにしておく)
・老朽化している電気製品は使わない(同様に使えないように電源コードを切る)
・濡れた手でプラグ等を触らない
・防水されていない家電製品を屋外やふろ場で使わない
(電動工具での感電も多い様ですので、十分注意してください)
・漏電ブレーカーを取り付ける(最近は配電盤側についている場合が多い)、
・洗濯機、温水便座など、アースをとるようになっている製品は必ずアースをとる(アースがとれない場合は電気店に相談して、アースをとれるようにしてもらう)
・プラグや電気製品の修理は専門家に任せる

など、日ごろから感電事故に注意しましょう。



コンセント片側と床の間にかかる電圧


2020年6月5日金曜日

FMEA(Failure Mode and Effect Analysis)その3

それでは、FMEAは何をすれば良いか考えてみましょう。

FMEAというと、すぐにフォーマット/ワークシートが出てきます。FMEAを十分理解しないままワークシートを使っても、何をやっているのかわからないFMEAになってしまいます。中にはワークシートに記入することが目的となってしまい、何のためにFMEAをやっているという事を忘れてしまう人もいます。フォームやワークシートは自社の業務に合ったように作って運用すれば良いのであって、まずは何をすれば良いのか理解しましょう。
手順は次のように考えます

1.部品や手順など、故障モードの起こる箇所(アイテム)と故障モードをリストアップする。
⇒ 例えばネジがあったら、緩む、折れる、錆びる、ネジの締め付け作業なら締め忘れ、締め付けトルクかけすぎなど、

2.その故障モードになる原因を取り上げておく

3.その故障モードによって引き起こされる影響、故障や事故を抽出する
⇒ 考えられる最悪の事などを抽出する

4.引き起こされないようにするための対策を示す

5.対策を評価する
⇒ 評価方法は色々と提案されているが、自社の業務にあったものにすれば良い

この手順を見ると、設計行為そのものです。FMEAは意識的に実施することと、ワークシートなど決まったフォーマットに記載して見える化、チェックリスト化しているだけです。

次に、もう少し具体的に事例で考えてみたいと思います。

(続きは執筆中)

FMEA(Failure Mode and Effect Analysis)その2

 FMEAのFailure Modeとは日本語だと「故障モード」と訳されていることが多いです。なぜ、Failure「故障」ではなくFailure Mode「故障モード」なのでしょうか?
これは分析の手順をしめしています。
 故障やトラブルから、なぜその故障が起こるかを考えて手を打つと、抜け漏れが発生する可能性があるからです。単純なものであれば「見落としていた、それを対策しておけば安心だ」となるかもしれませんが、対策が問題を起こすこともあります。

 例えば、屋外の階段で「転んで怪我をした」ので手すりをつけたとします。でも、階段で転びやすかったのは、踏み板部分が滑りやすくなっていたかもしれませんし、転んだ人の靴が滑りやすかったのかもしれません。さらに、手すりをつけたら、幼児が頭をぶつけて怪我をした、頭がはさまってレスキューを呼ぶことになるかもしれません。幼児の頭がはさまって危険になるような隙間をあけるのはプロの仕事とは言えませんね。ほとんどの場合は過去の経験でプロが寸法や高さ、形状を決めているので問題が起こらないだけでしょう。

 これをトラブルからではなく、状態の変化などを網羅的に取り上げて、それで起こるトラブルを評価するというボトムアップ的な手法がFMEAです。階段であれば「転んで怪我をした」という事故から対策するのではなく、「雨が降った」「踏み板が摩耗した」「踏み板の塗装が剥げた」などの状態の変化等(故障モード)を取り上げて、起こるトラブル/事故(故障)を抽出、評価して、対策をするという進め方になります。

 ここで重要になるのは、「故障モード」と「故障」の違いを理解することです。例えば台所の換気扇で「異音がしている」は故障、「ベアリングが摩耗している」が故障モードです。ベアリングが摩耗しているだけでは「故障」とは言えません。逆にベアリングが摩耗したら何が起こるかを取り上げてどんな故障があるかを洗い出して評価して必要があれば対策をする。それがFMEA、換気扇のベアリングが摩耗すると異音がするかもしれませんし、負荷が増えてモーターに過電流が流れ過熱発煙するかもしれません。こびりついた油に引火するかもしれません。それならモーターに過電流が流れて過熱しないようにFUSEや温度FUSEを取り付けておこう、料理で蒸発して換気扇に流れてきた油がモーター部分に入り込まない構造にしようという設計をすることになります。

つづく

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